冬ギフトに!濃厚カカオのテリーヌショコラ

【吉野に聞く】Dari Kはなぜフルーツ発酵に挑戦するのか(第3回)

2021年1月から販売開始した、人気商品の「カカオが香る生チョコレート~フルーツ発酵~」。副原料や香料を一切入れていないのにフルーツがふわっと香る「フルーツ発酵」の技術は、Dari Kが独自で開発しました。今回はその裏側にあるストーリーを深掘りしていきます。

 

*フルーツ発酵とは?

カカオ豆の発酵の過程で現地で採れる南国の果物を使用して作った特別な酵母を混ぜることで、フルーツの風味や香りをカカオ豆そのものにまとわせた特別なカカオ豆のことです。

 

◆そもそも発酵って?

 

―そもそもカカオを発酵させるということ自体、あまりイメージがつかないのですが、カカオの発酵について教えてください。

 

カカオ豆というのは、カカオポッドと呼ばれるカカオの果実の種子のことを指します。カカオポッドは、ラグビーボールより一回りくらい小さい楕円形の実で、これがカカオの木の枝や幹に直接ついています。

 

 

このカカオポッドを収穫して殻を割り、中からパルプと呼ばれる白い果肉を取り出します。

 

 

このパルプを木箱に入れ、バナナの葉っぱで蓋をして放置すると、パルプの糖分と目には見えない酵母が反応して温度がぐんぐん上がっていきます。これがカカオの「発酵」です。

 

 

発酵によって、カカオのパルプの甘酸っぱい香りや味がカカオ豆の中に染み込みます。発酵しなくてもカカオ豆からチョコレートを作ることはできますが、発酵したカカオ豆からできたチョコレートに比べて味が単調で、あまり美味しくなりません。美味しいチョコレートを作るには、良い原料を使う必要がありますが、そのためには発酵という過程は不可欠です。

 

―発酵することで風味の良いカカオ豆になるのですね!

 

はい。カカオ豆は産地によって色々な風味の違いがありますが、その風味を決めるのも「発酵」なのです。

 

◆フルーツ発酵の開発秘話

 

※写真はイメージです

 

―カカオを発酵させる際にフルーツも加えたのですね。どんなところが大変でしたか?

 

そもそも、カカオ豆の発酵で作用する酵母は木箱やバナナの葉っぱ、空気、土などどこにでもいて、何の酵母が作用してこの風味になっているのか、科学的によく分かっていない部分も多くあります。そこにフルーツも加えて発酵させようとするわけですから、一度上手くいったとしても、一緒に入れたフルーツの酵母が作用してこの風味になったのか、それとも木箱にたまたまいた酵母が作用したのか分からず、もう一度同じ原料で同じ条件で実験しても、違う風味になってしまうことがあり、条件を揃えるのに苦労しました。

 

ーフルーツ発酵を開発するのに、どれくらいかかりましたか?

 

5年かかりました。

 

―5年も!なぜそんなに時間がかかったのですか?

 

同じような風味を作り続ける(再現性を持たせる)のに一番苦労しました。

 

―同じ条件で実験しても、風味が全然変わってしまうこともあるのですね。どうやって同じ風味を出し続けられるようにしたのですか?

 

木箱ではなくステンレスの発酵槽を使い、実験が終わるたびに消毒して使うようにしました。ステンレスであれば酵母もくっついていないですし、比較的同じ条件を作り出しやすくなります。ステンレスの発酵槽は売っていなかったので、自分たちでステンレス板を買って手作りしました。

 

◆フルーツ発酵の可能性と今後の挑戦

 

 

―フルーツ発酵って、カカオ豆をチョコレートにする段階でフルーツのフレーバー(香料)を足すのと何が一番違うのですか?

 

一番は、いつ誰がフルーツの風味を加えるという付加価値を加えるかが違います。カカオ農家はこれまで、カカオを収穫・発酵・乾燥させ、輸出するだけで、フレーバーを足すことを含めたチョコレートへの加工は生産国ではない国(先進国など)で行われることがほとんどでした。カカオは国際市場で買取価格が決められてしまうため、原価割れを引き起こす可能性のある作物です。カカオ農家が自分たちで価格を決めることができず、カカオ農家が儲かりにくい構造にあります。フルーツ発酵は、そんな生産者たちが自分たちでフルーツの風味という付加価値を加えられることで、国際市場で取引されるカカオ豆と差別化を図れますし、付加価値を加えることによってカカオの買取価格も上がります。フルーツ発酵はカカオ農家にとって、カカオが儲かりにくいという状況から脱却し得る一つの希望になるのではないかと思っています。

 

また、消費者にとってもフルーツ発酵はさらにカカオやチョコレートを楽しめることに繋がると思います。Dari Kはインドネシア・スラウェシ島にしか契約農家がいないため、他のBean to Barのように産地の違いでチョコレートの風味の違いを楽しんでいただくことができません。その分、同じスラウェシ島のカカオ豆でもフルーツ発酵の有無によって風味の違いが味わえ、楽しみ方が広がるのではないかと思います。

 

―なるほど。フルーツ発酵に使うフルーツってどこから仕入れているのですか?

 

スラウェシ島の農家がアグロフォレストリー農法で育てているフルーツを使うなど、スラウェシ島で採れたフルーツを使っています。カカオは直射日光に弱く、カカオの木よりも背の高い、日陰を作ってくれるシェードツリーが必要になってきます。また、カカオの木が病気にかかり、カカオを収穫できなくなったとしてもフルーツの木を混植しておけば農家は食いつなぐことができます。アグロフォレストリー農法で色々な作物を植えておけば現地の生態系を守ることにもつながり、環境面から見ても良い農法なんです。

 

 

こうしたメリットがある一方、スラウェシ島の島民は皆カカオやフルーツを栽培していて、収穫したフルーツを市場に持って行っても売れません。漁師に魚を買ってくれと言っているようなものですからね。いくら環境やカカオの生育のために良いからといって、売れないフルーツを作り続けるのは無理があります。そこで、アグロフォレストリー農法で育ったフルーツをカカオの発酵に混ぜ込むことで、フルーツを栽培する意義が生まれます。農家の経営を持続可能にするためにも、フルーツ発酵には可能性があるのではないかと思います。

 

―最後に、フルーツ発酵を通して今後どんなことに挑戦していきたいですか?

 

スラウェシ島にかぎらず、もっと色々な場所でフルーツ発酵の技術を広めたいです。カカオだけを発酵させても産地によって風味が全然違うのに、中米やアフリカなど、現地で採れるフルーツを現地のカカオと掛けあわせたらもっとカカオに個性が生まれると思いますし、カカオの楽しみ方がぐっと広がると思います。世界のカカオの可能性を広げていきたいですね。

【催事情報】銀座 蔦屋書店でお取り扱いいただきます

銀座 蔦屋書店にて開催される「京都のものづくりーKYOTO another storyー 京都まるしぇ」でDari Kの商品をお取り扱いいただきます。
10月29日(金)から11月2日(水・祝)までの催事となります。

京都まるしぇ_ロゴ

お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

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*催事名:「京都のものづくりーKYOTO another storyー 京都まるしぇ」

 

*日程:2021年10月29日(金)~11月3日(水・祝)

 

*場所:銀座 蔦屋書店

東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F

 

*公式サイト:https://store.tsite.jp/ginza/event/art/22803-1850081012.html
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【商品情報】CLAIR DE LUNEでお取り扱いいただきます

1945年創業の老舗和菓子屋「小泉製菓」(愛媛県)が運営するカフェ「CLAIR DE LUNE」(クレアドルネ)にて、Dari Kの商品をお取り扱いいただいております。

 

 

店内ではDari Kの商品のほか、さまざまなスイーツがお楽しみいただけます。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

 

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*カフェ:CLAIR DE LUNE

 

*場所:愛媛県東温市志津川1750-1

 

*商品:カカオサンドクッキー、カカオが香る生チョコレート2021~フルーツ発酵~

 

*公式サイト:https://clairdelune-sweets-cafe.com/

 

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colorful coffeeで搾りたてカカオマスのプレミアムテリーヌショコラを提供

三重県津市のスペシャルティーコーヒー専門店「colorful coffee(カラフルコーヒー)」で、搾りたてカカオマスをふんだんに使用した「搾りたてカカオマスのプレミアムテリーヌショコラ」が提供されています。

テリーヌショコラ

 

カカオの風味をしっかりと感じていただける、なめらかな舌ざわりのテリーヌショコラです。

付け合わせにはチョコレートと相性の良い、季節の食材が添えられています。

 

ぜひ一度ご賞味ください。

 

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*商品:搾りたてカカオマスのプレミアムテリーヌショコラ

 

*提供期間:常時(付け合わせはシーズナル)

 

*提供場所:colorful coffee

三重県津市安東町1378-4

 

*価格:800円(原材料により変更有)

 

【吉野に聞く】フィリピン・ミンダナオにおける事業展開の挑戦(2017年JICAプロジェクト)(第2回)

2011年の創業以来、Dari Kはインドネシア・スラウェシ島でカカオ豆の栽培指導を行っていますが、JICAプロジェクトの一環で、フィリピン・ミンダナオでの事業展開の可能性を模索していた時期があります。結果として、ミンダナオでの事業展開に至らなかったものの、なぜDari Kがミンダナオでの事業展開を試みたのか、まとめました。なお、本案件は開発コンサルティング企業と協同で実施したJICAプロジェクトです。

※大学生の方から「『BOPビジネス』をテーマにした卒業論文を執筆したい。そのために話を聞きたい」といったお問合せを2021年現在も度々いただいています。今回の記事は、お問合せいただいた大学生の方と、当時プロジェクトを主導していた代表の吉野のインタビューの内容を元に執筆したものです。

フィリピン(1)

◆Dari Kがなぜフィリピンで事業を行おうとしたのか?

 

ミンダナオは古くから紛争状態が続いており、現地で暮らす人々が安心して仕事ができる環境下にありません。貧困状態に苦しむ人であふれる中、高品質なカカオ豆を継続的に栽培できるようにすることで安定した収入が得られるようにできるのではないか。加えて、ミンダナオはインドネシア・スラウェシ島のすぐ北に位置し、地理的に見ても近いことやカカオ豆の栽培率が各国の約8割を占め、どちらの地もカカオ豆の栽培に適していたことなど、スラウェシ島との共通点も多く見受けられたため、「BOPビジネス」としてミンダナオでの事業展開の可能性を検討することとなりました。

 

◆そもそも「BOPビジネス」って何?

 

「BOP」とは、Base of PyramidまたはBottom of Pyramidの略で、購買力平価で年間所得が3000米ドル(約33万円)未満の層が該当します。年間約33万円というと、1日900円ほど。1日900円では、衣食住や子供の教育費を確保するのが困難であることは、想像に難くありません。BOPビジネスは、そんなBOP層を対象とした持続可能なビジネスのことです。

 

BOPビジネスには大きく分けて2種類あります。1つは、BOP層を消費者と捉え、彼らのニーズに合わせた商品を開発・販売するビジネス。たとえば、日本の食品会社である味の素が、小袋の「味の素」を途上国で販売する事例が挙げられます。小袋の「味の素」の価格は、インドネシアでは0.9グラム入り50ルピア(約0.5円)、ナイジェリアでは9グラム入り5ナイラ(約3円)。まとまったお金がないためにこれまで味の素を購入できなかった現地の人々にとって、少額であれば手が届きやすいためです。

 

もう1つのBOPビジネスは、BOP層を消費者と捉えるのではなく、BOP層の雇用を創出することで彼らの所得を増やす方法です。Dari Kはこの意味合いでのBOPビジネスを進めてきました。たとえばミンダナオの人々は長年紛争状態に苦しみ、所得水準が著しく低いのが現状です。まず彼らが安心して働けるよう仕事をつくることが、貧困から脱却する第一歩になります。

 

雇用を創出することでBOP層が貧困から脱却する第一歩につながったとしても、いきなり日本で出回っているような通常サイズの「味の素」が買えるようになるわけではありません。どちらのBOPビジネスが良い、悪い、という話ではなく、企業の役割分担だったり、上手く組み合わせたりすることが重要なのではないかと思われます。

 

◆ミンダナオのJICAプロジェクト

フィリピン(2)

ミンダナオのJICAプロジェクトでは、「カカオ栽培及び収穫後処理の指導により、高品質なカカオ豆が生産できるようになり、ミンダナオ産カカオが国内外問わず高品質カカオとして流通する」ことをプロジェクト目標に、長期的には現地住民がカカオの栽培により生計向上・雇用創出を実現し、経済の安定に貢献する目的で進められました。Dari Kだけでなく、開発コンサルティング企業やJICAと共にプロジェクトを進めました。

 

JICAといった公的機関とプロジェクトを共にするメリットとして挙げられるのが、G2G(Government to Government)のネットワークを存分に活かせるということ。一企業が、進出したことのない国でビジネスを始めるのは想像以上に大変です。国の後ろ盾があることで話が早く進んだり、現地の情報を得やすくなったりと、様々なメリットがあります。

 

◆現地の貧困問題に対して、民間企業が取り組む意義

フィリピン(3)

BOPビジネスにおいて、民間企業ならではの強みを発揮できる部分があります。それは、「マーケットを知っていること」「売れる商品をつくるにはどうしたらいいか、知っていること」です。売れる商品というのは、品質だけでなく、消費者のニーズに合っているか、値段設定は的確か、など様々な観点から考える必要があります。現地の人々の雇用創出を図っても、消費者にとって魅力的な商品でなければ買ってもらえません。商品を買ってもらえなければ、最終的に現地の人々が再び仕事を失うことになる可能性が高まります。ただ現地の雇用を創出すればいいのではなく、消費者目線に立つことも必要となります。

 

ミンダナオの事業を例に挙げると、農家が一番気にするのは、「高品質なカカオ豆を栽培したところで、本当にそれが売れるのか?マーケットはあるのか?」ということ。その疑問にこたえられ、かつビジネスパートナーとして彼らと共に歩いていく役割を担えるのは、民間企業だけではないでしょうか。そこに、現地の貧困問題に対して、民間企業が取り組む意義があるといえます。

 

◆紛争の影響から、ミンダナオでの事業展開は一旦見送ることに

 

結果として、ミンダナオの紛争状態が悪化し、外務省から渡航中止命令が出ていたことからミンダナオでの事業展開は見送らざるを得ませんでした。現在、Dari Kが技術指導を行うインドネシアでは、現地の駐在員が農家を一軒一軒回り、高品質なカカオ豆をつくるべく尽力しています。駐在はおろか渡航もままならないミンダナオで、カカオ豆の栽培の技術指導を行うことは困難です。仮に遠隔での技術指導によって高品質なカカオ豆の栽培に成功したとしても、現地に買い付けに行けなければせっかくできたカカオ豆やそれまでの農家の努力がすべて無駄になってしまいます。

 

こうした理由からミンダナオでの事業展開は見送ったものの、Dari Kとしてはこれで終わらせるつもりはなく、ミンダナオでも高品質なカカオ豆を栽培できるよう、再挑戦したいと考えています。いつの日かフィリピン・ミンダナオ産のDari Kのチョコレートを皆さんに味わっていただける日がくるかもしれません。

◆ご参考◆

 

本プロジェクトについて、より詳しく知りたい方は、以下ご参照ください。

 

JICAプロジェクト報告書「フィリピン国 ミンダナオにおけるカカオ生産性向上ならびに高付加価値化に関する案件化調査業務完了報告書

 

弊社代表・吉野のブログ「ミンダナオ出張記(1)」「ミンダナオ出張記(2)」「ミンダナオ出張記(3)

【セミナー報告】GRIPSフォーラムでの吉野の講演が終了しました

10月11日に、政策研究大学院大学(GRIPS)で開催された「GRIPSフォーラム」が無事に終了しました。300名を超える多くの方から事前にお申し込みいただき、盛況となりました。

 

英語での開催であったため、日本だけでなく米国やインドネシア、フィリピンなど外国籍の方の参加も多く、また中学生から社会人、定年退職された方まで、幅広い世代の方にご参加いただいたようです。

 

参加者の皆様は、カカオをめぐる構造上の問題やDari Kを設立した経緯についての関心が高かったようで、コメントが多く寄せられました。外国籍の方から「自分の母国でもビジネスを立ち上げてほしい」といった嬉しいコメントもいただきました。

 

ご参加くださった皆様、そしてこのような機会をくださったGRIPSのご関係者の方に、この場を借りて御礼申し上げます。

講演依頼についてはお問い合わせフォームより承っております。

なお、スケジュールの都合からすべての講演依頼にお応えできない場合がございます。あらかじめご了承ください。

 

【セミナー報告】亜細亜大学での吉野の講演が終了しました

10月11日に、亜細亜大学の学生向けに開催された「インターナショナル・フォーラム」が無事に終了し、60名を超える亜細亜大学の学生の方にご参加いただきました。

 

今回は学生向けということで、吉野がなぜDari Kを創業することを決意したのか、吉野の学生時代の話が中心に進んでいきました。

 

「なぜ日本は地理的に近いインドネシアではなく、ガーナからカカオ豆を多く輸入しているのか」という吉野からの質問に対し、学生の方が積極的に考え、意見を発表してくれました。疑問をただの疑問で終わらせるのではなく、なぜそうなのか自分なりの仮説を多く立てることが大事だという吉野からの話があったり、質疑応答の時間では学生の方から「なぜ京都で起業したのですか」「なぜチョコレート業界のことを全く知らなかったのに自分でやろうと思ったのですか」といった質問が次々と挙がり、吉野が「良い質問ですね」を連発したりと、Zoom開催でありながらも盛り上がった講演となりました。

 

ご参加くださった皆様、そしてこのような機会をくださった亜細亜大学のご関係者の方に、この場を借りて御礼申し上げます。

講演依頼についてはお問い合わせフォームより承っております。

なお、スケジュールの都合からすべての講演依頼にお応えできない場合がございます。あらかじめご了承ください。

 

【セミナー情報】神戸学校に吉野が登壇します

 10月23日(土)に神戸学校にて「フェリシモチョコレートミュージアム オープン記念特別編「Cacao for the future」~カカオの可能性を開く3名のお話~」と題した対談イベントが兵庫県神戸市内の「フェリシモホール」およびオンラインで開催されます(詳細はこちら)。

 

ご関心のある方はぜひお申込みください!

 

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【開催概要】

 

日時:2021年10月23日(土)13:30-15:00(日本時間)

 

演題:「Cacao for the future」~カカオの可能性を開く3名のお話~

 

場所:フェリシモホール(兵庫県神戸市中央区新港町7番1号)またはオンライン

 

参加費:有料(事前申込必要)

 

概要:

フェリシモチョコレートミュージアムのオープンを記念して“カカオ”に着目した特別講演を実施致します。今回はいつもと視点を変え、カカオにまつわるスペシャリスト3名をお招きし、それぞれの視点からご講演いただきます。

 

上野 祟さん:ビジネスの分野から(株)DK‐Powerの上野さんです。(株)DK‐Powerは石川県加賀市との協定を締結しバイオマス発電の排熱を利用したカカオの森づくりを行うプロジェクトを、東京大学 樹芸研究所・フェリシモとともにスタートさせました。耕作放棄地でのカカオ栽培とバイオマス発電を活用した地域発循環型モデルを産官学連携してつくりあげていこうとしています。このプロジェクトから生まれる日本産カカオの可能性について語っていただきます。

 

吉野 慶一さん:ショコラティエの視点から、神戸学校には2度目のご登壇となるDari K(株)の吉野さんです。吉野さんはインドネシアのカカオ農家を取り巻く現状を知り、「カカオを通して世界を変える」との理念のもと、金融アナリストから突如ショコラティエへ転身、「カカオのもつ世界を変える素晴らしい力」を体現し発信し続けられています。パリでのサロンドゥショコラ直前にもかかわらず、世界で活躍するショコラティエから見たカカオの可能性についてご講演くださいます。

 

永井 克也さん:カカオ研究の観点からは、(株)ANBAS/(一社)サイエンティフィックアロマテラピー協会の永井さんです。永井さんはカカオが自律神経活動と生理機能に与える影響について研究された実績があり、体のメカニズムとカカオの関係性について化学の分野から見たカカオに秘められた力をお話しくださいます。

 

世界中で親しまれているチョコレートの原料である“カカオ”を通して未来を考える会にできればと思います。

 

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【神戸学校とは】(ホームページより抜粋)

 

神戸学校は1995年の阪神淡路大震災をきっかけにスタートしました。

「崩壊した建造物の修復はできないわたしたちにも、人々の心の復興につながるようなことならできるかもしれない」そう考え、神戸発未来へ

 

「経験と言葉の贈り物」

 

をコンセプトとしたメッセージライブ(講演会)を開催しようということになりました。

 

【吉野に聞く】なぜカカオ農家は貧困から抜け出しにくい状況にあるのか?(第1回)

これまで「Dari K通信」としてメールマガジンの配信内容をお伝えしてきましたが、今回から「吉野に聞く」と題し、カカオにまつわる疑問をDari K代表・吉野が答える形でお伝えしていきます!(隔週水曜日に発信予定)

 

cacao pod

 

記念すべき第1回は、カカオ農家をめぐる貧困について。

 

「甘いチョコレートの裏に苦い現実がある」というのは、近年知られるようになってきましたが、なぜカカオ産業は儲かりにくいといわれているのでしょうか?カカオの裏に潜む構造上の問題について探ります。

 

―カカオ農園で、幼い子供が学校にも通えずに働いている話を耳にします。なぜこのようなことが起きているのでしょうか?

 

吉野:まず、児童労働というのは、「子供の教育や発達を妨げるもの」が児童労働とみなされ、15歳未満の子供が大人のように働くことは原則として認められていません。国際労働機関(ILO)は18歳未満の児童による「最悪の形態の児童労働※」の禁止と撤廃を求めており、187ヶ国が「最悪の形態の児童労働に関する条約」に批准しています。しかし、今もなお、朝から晩までカカオ農園で酷使される子供は世界で約156万人いるといわれています。

 

※「最悪の形態の児童労働」とは、以下4つに該当するものをいう。
①人身売買、徴兵を含む強制労働、債務労働などの奴隷労働
② 売春、ポルノ製造、わいせつな演技に使用、斡旋、提供
③ 薬物の生産・取引など不正な活動に使用、斡旋、提供
④ 児童の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働

 

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※写真はイメージです

 

吉野:では、なぜ子供が働かなけれならないかといえば、「貧困」が大きな原因です。子供は人身売買によって隣の国から連れてこられるケースや、家族と共に暮らしていても親の収入では生活できないために子供が働かざるを得ないケースもあります。以前、私(吉野)がガーナを訪れた時、現地の人々は児童労働を良くないものと認識していました。それでも児童労働を根絶できないのは、カカオ産業の構造に問題があり、儲からない仕組みになってしまっているからだと思います。

 

―なぜカカオ産業は儲からないのでしょうか?

 

吉野:カカオ産業(カカオを生産する側)がなぜ儲からないのかを考える前に、カカオの歴史を振り返ってみましょう。

 

カカオは約4,000年以上前から栽培されてきたといわれています。現在のような甘いチョコレートとして食べられるようになったのはほんの170年ほど前で、それより前は唐辛子やトウモロコシなどの粉末と混ぜ合わせたスパイシーな飲み物や精力剤として飲まれてきました。カカオは、古くは中南米に自生し、現在のメキシコやグアテマラなどで栽培されてきたのです。

 

特定の地域の植物だったカカオが世界に広まったのは、16世紀初めにスペインがメキシコを征服し、ヨーロッパに広まったことがきっかけです。当時は植民地時代の真っ只中で、フランスやイギリスなどの宗主国と呼ばれる国々は自らの植民地でカカオの栽培を試みました。現在の主要なカカオ生産国のコートジボワールとカメルーンはフランス、ガーナはイギリス、エクアドルはスペイン、インドネシアはオランダの旧植民地です。宗主国は現地の住民をカカオ栽培に従事させ、それが現在の商業的なカカオ生産の始まりになりました。

 

cacao

 

吉野:旧植民地の人々が半強制的にカカオを栽培させられ、換金作物として扱われる。こうした歴史的な背景が、カカオ産業の構造に多大な影響を及ぼしているといえます。

 

通常、商品の価格は需要と供給のバランスによって決まりますが、カカオは先物市場で買取価格が決まる仕組みになっています。

 

苗木の購入や肥料にどれだけお金をかけたか、栽培から収穫までにどれだけ時間をかけ、丹精込めて栽培したかは関係ありません。農家が原価割れを引き起こす可能性のある先物市場をつくりたいと言うはずはなく、買い手側が価格の変動を抑えて安定的に購入するために先物市場ができたといえます。こうした構造上の問題が、カカオ産業が儲からない大きな要因となっているのだと思います。

 

―なるほど、歴史的な背景が大きく関わっているのですね。でも、21世紀になっても現状の仕組みは大きく変わっていない気がします。現状の仕組みを変えることは難しいのでしょうか?

 

吉野:激しい価格競争が当たり前の現代社会において、自分たちだけ市場価格より高い価格で販売するというのがなかなか勇気のいることだからだと思います。たとえば、今までの商品と品質や量がほとんど変わらないのに、価格が数十円でも上がったら「少し手が出しづらいな」と感じてしまう人は少なくないのではないでしょうか。企業にとって、品質を伴わずに価格を上げることは多大なリスクになってしまうんですよね。

 

そもそも、カカオ産業の構造上の問題が大きすぎて、一企業だけでは太刀打ちできない面も大きいように思います。民間企業の努力も必要ですが、公的な仕組み作りも同じくらい重要であり、たとえば児童労働の疑いのあるカカオ豆に対しては高関税をかける、といった市場を強制的に是正させる仕組みも今後必要になってくるのではないでしょうか。

【セミナー情報】Citrix Future of Work Tour 2021にインドネシア駐在員の足立が登壇します

 11月24日(水)~11月26日(金)の3日間、Citrix Future of Work Tour 2021 Japan - Digitalと題したオンラインイベント(セミナー)が開催されます(詳細はこちら)。

 

イベントのテーマは「人を中心に新たな働き方をデザインする- Redesigning the Future of Work -」。コロナ禍で働き方が見直される中、来たるべきAfterコロナ時代における「人」を中心に据えた「働き方の革新」を実行するにはどうすればいいか、そのヒントが詰まったイベントが連日開催される予定です。

 

イベント2日目にあたる11月25日(木)に、インドネシア駐在員の足立が「Dari Kの挑戦とSDGsの実践」をテーマに登壇いたします。

 

無料セミナーですので、ご関心のある方はぜひお申込みください!

(お申込みはこちら

 

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【開催概要】

 

*日時:2021年11月25日(木)17:20-18:10

 

*演題:Dari Kの挑戦とSDGsの実践

 

*場所:オンライン

 

*参加費:無料(事前申込必要)

 

*申込フォーム:https://citrix-future-of-work.oatnd.com/fow2021-reg

*講演概要:

Citrix(シトリックス)では、全従業員がテレワークに切り替わってから約1年半の間、従業員のエンゲージメント向上や従業員のWell-beingのための企画として、これまでに16回のオンラインイベント開催、毎回25~30%の参加率を達成しています。テレワークならでは関心に焦点をあて、エンターテインメント性の高い企画にしつつ、終了をすると、SDGsを体験できる企画を実施してまいりました。本セッションの前半では、シトリックスのSDGsへの取り組み、社内イベントを成功させるための鍵や、テレワーク環境でどうチームをつなげるのかのなど具体的な運用方法をについて、失敗談を踏まえながら企画担当者と参加者が対談形式でご紹介します。

 

また、後半は、これまで行った企画の中でも評判がとても高かった、チョコレート市場の変革に取り組むある京都のチョコレート専門店「Dari K」様にご講演いただきます。チョコレートは食べる人を幸せにするけれど、原料カカオの生産者を取り巻く環境は厳しいということを知り、「努力が報われる社会」を作ることをビジョンに創業されたDari K(ダリケー)。サプライチェーンを一貫掌握するビジネスモデルで社会の変革を目指しています。コモディティーの生産国での挑戦と、SDGsに関わる現地での実践をご紹介いたします。

 

前半の話をより体験として視聴することで、イメージがわく内容です。新しいSDGsのビジネスモデルを確立した革新的な企業であり、講演はカカオの生産地であるインドネシアより中継します。

 

また本セッションにご登録・ご視聴いただいた方の中から抽選で100名様にDari K様のチョコレートをプレゼントいたします。

※なお、当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきますので、予めご了承ください。