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【インタビュー】京都・和束町の伝統を大切にしながら「お茶を通じて楽しむ」を世界に発信するブランドへ(d:matcha)

京都・和束町で、宇治茶の栽培から販売まで手掛けるd:matcha。和束町は宇治茶の生産地域として知られており、現在宇治茶の約4割弱を和束町で生産しているという。

 

d:matcha代表の田中大貴さんをはじめとする創業メンバーは、約6年前に和束町に移住し、和束町のお茶農家に弟子入りしてお茶づくりを学んだ。現在は自社の茶畑で丁寧にお茶づくりをしながら、お茶体験の提供や商品開発にも力を入れている。お茶や抹茶スイーツの販売にとどまらず、和束産・自家栽培抹茶をたっぷりと練り込んだ抹茶麺を使って担々麺や生パスタを店舗のイートインメニューで提供したり、自家製ほうじ茶でご飯を炊き、カレーと合わせたりと、お茶の可能性を広げるメニュー開発も積極的に取り組んでいるという。

 

今回は、お茶へのこだわりや商品開発の想いについて、d:matchaの田中美里さんに話を伺った。

 

◆お茶の味わい方や可能性を広げたい

 

 ↑茶畑で手入れをしている様子

 

日本一のお茶づくりを目指し、「和束町でお茶づくりをする」と決めたのが2016年。和束町ではより良いお茶を作ることに熱意を燃やす農家が多く、日本一のお茶づくりを目指すには最適の環境だと考えたからだ。

 

しかし、元々和束町には縁もゆかりもなかったため、移住当初は農地を借りるのにも苦労したという。良い畑はよほど運がよくなければ回ってこず、d:matchaが最初に借りた畑は、急斜面、耕作放棄地や作業効率が非常に悪い土地が多かった。

 

「お茶づくりを学びながら自分たちでも品質の良いお茶を作っていくことで徐々に地域から認めていただき、年を経るごとに良い畑がまわってくるようになりました。」(田中さん、以下同)

 

現在、約3.5ヘクタールの茶畑で数種類の品種を栽培する。栽培後の商品化まで自社で一貫して行い、それぞれのお茶の良さを最大限活かした商品開発を目指している。

 

たとえば、煎茶の「やぶきた」は清々しい香りと清涼感のある渋みが特徴だ。d:matchaでは「やぶきた」品種を畑別や、被覆(※)期間別で栽培、販売しており、それぞれに味わいが異なるという。同じく煎茶の「おくみどり」は旨味がありながら後味はさっぱりとしていて、どこかミルクを連想させるような味わいがある(「やぶきた」より7日ほど遅れて芽が出るため「おく」みどりと言うそう)。

 

※被覆:新芽生育期に品質向上を目的として一定期間の遮光を行う

 

◆「おくみどり」の一番茶を贅沢に使用した、濃厚なチョコレート

 

2021年からdari Kのホワイトチョコレートを使った商品の開発が始まった。

 

「d:matchaは『本当に良いものを生産しつづける地域や農家の努力が正当に評価されるようになってほしい』という想いのもと日々事業に取り組んでいます。dari Kの取り組みや想いに共通するものを感じ、また同じ京都発のブランドということで、dari Kのチョコレートを使った商品を作りたいと思うようになりました。」

 

↑新発売の「プレミアム抹茶チョコレートバー」。写真は抹茶チョコレートに柚子が載っている。

 

dari Kのチョコレート・トリュフにd:matchaの抹茶パウダーをまぶした抹茶トリュフを過去に販売したことはあったが、「もっと濃厚でコクのあるチョコレートを作ってみたい」と、半年ほどかけて「プレミアム抹茶チョコレートバー」を開発した。

 

1枚のチョコレートに含まれる抹茶は点てる抹茶約7杯分(抹茶含有量約18%)。「おくみどり」の一番茶(新茶)のみをふんだんに使用している。ホワイトチョコレートはカカオの風味が残るようにあえて脱臭や漂白しておらず、ナチュラルな風味が特徴だ。「おくみどり」は旨味やコクがしっかりと感じられる品種で、その旨味やコクを最大限に活かせるようホワイトチョコレートの配合を調整した。

 

包装紙には、ペットボトル飲料用に使用する際に出る茶殻が混ぜ込まれている。ほのかに緑色に染まった、自然な風合いと茶殻の香りを楽しむことができるという。

 

◆和束町の良さを広める、産地に根差したブランドに

 

 ↑d:matchaのチームの皆さん

 

和束町でお茶の栽培が始まったのはおよそ800年前。しかし、お茶の栽培技術や文化が脈々と受け継がれてきた和束町にも、人口減少の波が押し寄せている。1950年前後を境に徐々に人口が減少しはじめ、現在の人口は約4000人と、1950年当時と比較して半減した。田中さんは「もっと和束町やお茶の魅力を伝えられるようになりたい」と意気込む。

 

「『お茶を通じて楽しむ』ことを幅広く実現していきたいです。たとえばお茶を使った商品の開発や販売だけでなく、お茶の体験や宿泊体験など、和束町の良さを広く知っていただけるような取り組みをどんどんしていきたいですし、産地に根差したブランドに成長していきたいです。」

 

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