TPP(環太平洋経済連携協定)がニュースを賑わして久しい。
つい先ほど、11月28日にはOECDが日本政府に対し
"TPPに関しては「グローバル経済で日本の経済連携を
促進することは成長を押し上げる」などと評価し、
資本や労働分野の障壁を取り除くことなどを求めた"ということだ。
TPPについて、個人的に思うことは多々ある。
ありすぎて書ききれないくらいだ。
そもそもTPPに参加すべきかどうか、メリット・デメリットなど
色々な場で、色々な人が論じているが、私個人の
意見は次の2つだ。
①.たいていのものごとにはメリット・デメリット両方ある。
どちらかしかなければ簡単に結論を下すことができるが、
両方あった場合は、それを天秤にかけなければならない。
メリットの方が大きいのか、デメリットの方が大きいのか。
ここで重要なのは、このようなメリット・デメリットというような
質的なものを定量化する際に、その価値基準を
しっかりとしておかねばならない。
例えば、関税がなくなることで輸入品を安く買うことができる
メリット。この裏では、関税に守られていた国内農業が
価格競争力に負け、ますます衰退していくデメリットがある。
この両者をどう天秤にかけるか。
その天秤の基準が「金額」であれば、関税撤廃によって日本国民が
享受するメリットの方が、農業が受けるダメージ総額より
明らかに大きいであろうから、TPPには参加すべきだ、
という結論になる。
でも、これはあくまで「金額」を基準としたときの判断。
これが「暮らしに悪影響をを出来るだけ与えない」という
ことを基準にしたらどうだろうか。
今後TPPにより関税が下がって、多くの国民は安い輸入品を
手に入れられて幸せかもしれないが、TPPに参加しなかったら
しなかったで、現状維持なわけだから暮らし向きが悪くなる
わけではない。一方、農家はTPPにより外国産の安い農作物が
入ってきて、自分の作る農作物との価格差が4~5倍になり
売れなくなって農業を諦めざるを得ないかもしれない。
この場合、暮らしに悪影響がでる。だから、これを価値基準とする
天秤にかけた場合、TPPには参加しないほうが良い、という結論になる。
農家が受ける打撃は、その分所得補填すればよい、という
考え方は、金銭的価値基準でメリット・デメリットを
天秤にかけるときに出る発想であって、これまで農業を
一途にやってきた人への精神的な代償は考えていない。
何だかサンデル教授の「何が正義か」のような
感じになってしまうが、私が言いたいのはつまるところ、
TPPの影響を予測するのはとっても難しい。
それが金銭的な影響に限ったとしても、政府内でさえ
内閣府や各省庁が出す試算はバラバラなのが現状。
民間の証券会社やシンクタンク、コンサルティング会社も
含めれば、TPPの影響なんて試算は全部違うように、
どうなるかなんて実際分からない。
参加国も決定せず、その時までの日本の景気動向や
外国の経済状況、欧州のデフォルトリスク、中国の経済成長、
全て先行きが不透明で、どこまでが織り込み済み(想定済み)で
いつブラックスワンが現れるか分からないこの世の中で
どうすべきかなんて誰もわからない。
そこで思うのが次の考え。
これについては明日続きを書きます。
TPP雑感Part 1
2011年11月29日