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dari K to the World
ブログ

Root causeの思考法

前回のロールモデルに関するブログには、多くの
反響をいただきとてもありがたいです。
少しでも自分が学んだこと、刺激を受けたことを
シェアできればと思ってこのブログを書いているので
反響をいただけるのは書き手冥利につきます。
ただ、常にグッと来る話ばかりできるわけではないので
(できるのなら「1分間の深イイ話」に毎回投稿してます笑)、
期待値あげずに読んでくださいね。
今日は自分が心がけている思考法について書きたいと思います。
それはroot cause思考法というものです(今勝手に名付けました)
rootとは「根っこ」,causeは「原因」なので
根っこの原因、つまり「根本的原因」という意味になります。
それではroot cause思考法とは何か?
具体例をあげて考えてみます。
たとえばあなたが学校の先生で、もしくはお母さん・お父さんで
こどもが宿題をやらない。それに対して、その子どもになんと言いますか?
「宿題はみんながやらなきゃいけないものなのよ。
だからあなたもやりなさい」
「宿題は先生やお母さんのためにやるものではなくて、
自分のためにやるものなのよ。だから今度からしっかりやりなさい」
こんな感じでしょうか?
おそらく90%以上こんな感じですよね。
私自身も言われたことがあるし、たいていみんなこう言ったり、言われて
育ってきていると思います。
そして、これを言ったり言われてから、宿題を必ずするように
なったでしょうか?
う~ん、そうとも言い切れませんね。
root causeのアプローチでは、その根本的原因を探ります。
なので、先の例で言えば、宿題をしていない子どもに対して
「宿題をしなかったのは、時間はあるけど面倒くさいから?
それともやりたいのに時間がないの?それとも難しすぎて
やろうとおもってるけど、できなかったの?」
こうして「宿題をやらなかった」という事実に対する
原因を特定し、それに対して適当なアプローチをとる、
これがroot cause思考法です(何度もいいますが、
勝手に名付けましたよ)
単に「宿題はやらなければいけないもの」という至極真っ当な
ことを言っても、現実世界で「そうか、宿題は自分のためにやるのか」
と気づいてやる子どもなんてそんなに多くはありません。
その子が「なぜ」宿題をやらないのか、その原因に対して
もし時間がないのであれば、TVを見る時間を宿題する時間に
割り当てればいいし、時間があるのに面倒くさいなら、それは
勉強の面白さが分かっていないからなので、面白くする
きっかけを与えればよいし、やる気はあっても難しくて
できないのならば、手助けすることでできるようにしてあげる、
そんなアプローチをすることで、宿題はきっとするように
なると思います。だって根本の問題が解決されるのだから!
だから、たとえばインドネシアの農家とかかわるなかで
みんなすごく時間にルーズで適当だったりするんですが
「お前らほんとどうしようもないな。そんなの日本じゃ
通用しないぞ!しっかりやらなければもう面倒見ないぞ!」
なんて言ったところで、その時はしっかりやるかもしれませんが
その後続くかどうか・・・
そんな時はroot cause思考法。
なんでインドネシアの農家は時間にルーズなの?
いついつまでにやってね、と依頼したのに、期限を守らないのは
なんでだろう、と考えるわけです。そうすると、やろうと
思ってたけど、雨が多くて収穫できない日が続いたのかもしれない。
もしくは、農家の家族の中に病気の人がいて、その介護で
作業が遅れたのかもしれない。はたまた、単なる怠惰かもしれない。
根本の理由が異なれば、それへの対処の仕方も異なります。
天候が理由なら、それはどうにも仕方がないので、だったら遅れる
ときは早めに連絡させるようにする。家庭の事情であれば
その時は他の農家に依頼するような体制を作らせる。
単なる怠惰であれば、この怠惰が信頼関係を傷つけることを
ちゃんと説明する。
そうすることで、きっとみんなしっかり応えてくれる。
事実、応えてくれた。
「この国は賄賂がまかり通っている」そんな事実があったとする。
でも「賄賂はよくない。間違っている。」と声高に叫んでも
きっと賄賂はなくならない。
なぜ賄賂が横行しているんだ?もしかしたら役人の給料が低すぎて
賄賂なしには生活がやっていけないのかな?
もしくは、賄賂は自分の目から見たら賄賂だけど、現地の人から
すれば、それは「手数料」や「チップ」のような慣習になっており
騒ぎ立てるのは外国人だけだということはないか?
はたまた、富んでいる人から貧しい人への所得再分配として
宗教的に・文化的に寛容されているのか?
など考えると、どれがroot causeかによって、これまた
どういう対処をすべきか道が決まってきます。
少なくとも「賄賂はやめろ~!」とデモしたり叫んでも
なくならないのは明らか。
そう考えると、物事はけっこう何でもroot causeがあるもので
なのにその根本的原因を見つめずに表面的に非難したり
攻撃したりすることが世の中いかに多いことか!
TPP反対!!といっている人は、TPP反対の根本的原因は何?
TPPの弊害はあったとしても、それをカバーする方策が
あればTPPは推進できるわけで、だったら反対というのではなく、
それをカバーする方法を考えるのに頭を使うべきじゃないかな。
靖国参拝問題も、死刑制度の是非も、原発の問題も、
「これが正義だ」「これはこうすべきだ」と表面的論じられ、、
そして表面的な議論ゆえに感情的になって、攻撃的に
なったりするけれど、root causeは何なのか、それを
一人ひとりが考え、問題の本質を冷静に見つめることが
できれば、世の中もっと良くなる気がするのです。
インドネシアのカカオ農家はチョコを食べたことがない。
そんな世の中おかしい!これは資本主義、自由経済の弊害だ!
世の中変えねばならぬ!なんて思って僕はチョコレート屋を
始めたわけではないのです。
確かにカカオを育てている農家がチョコを食べたことがないと
いうのはお菓子な、いや、おかしな話だとは思います。
でもチョコを食べていないことがroot causeではありません。
問題の本質は、単に商品作物(換金作物)としてカカオを
栽培しているがゆえに、生産性をあげるために
過剰な農薬も気にしない(化学肥料の使用など)、
自然環境や農地の持続可能性も気にしなで焼き畑をする、
生産量ではなく質を上げて付加価値をつけることを考えていない、
そしてカカオの病気や天候不順になると、生産量が激減して
貧困に陥るリスクがあることが問題なのです。
それに輪をかけるように、農家一人ひとりに対して
年金や社会保障、所得保障があるわけではない。だから
外部環境(天候や病害など自らコントロールできない)によって
一気に貧困になるリスクがある。そのことが憂うべき、そして
解決しなければならないroot causeなのです。
このような現状ひとつひとつの本質的な問題に
アプローチすることをDari Kではやりたいと思っていますし、
実際にやっています。
その具体策として、カカオを加工してチョコ作りを
農家に教えたり(収穫後の後工程を担うことで付加価値を創造する)、
アグロフォレストリーの考えを広めて他の作物も
収穫できるようにしたりすることで、年間間所得の平準化を
図る仕組みを作っているわけです。
(カカオは年2回しか収穫のピークがないので、その他の季節に
収益源を作ることは所得の安定化のために重要!)
長くなりましたが、root cause思考法はとっても大事。
一歩ひいて、何が根本的原因なのか、そこを見極め
それへの対策をひとつずつ施していく、そうしたら
感情的にならずに、冷静に、きっと世界はよい方向に
行くのだと信じてます。