最近は日本酒についての投稿が続いたので
今日はちょっと趣向を変えて経営のことを
書きたいと思います。
定期購読している経済雑誌PRESIDENTの
4月16日号は「一流の思考法、落第思考法」と
題して、大手企業経営者の思考というか考え方を
紹介していました。
上場企業の経営者ともなると、もちろんみんな
すごいのでしょうが、私個人的な意見としては
読んでいて「あー共感できる」「そうそう」と思う
思考をしているのはそのごく一部だったりします。
(偉そうですいません)
もちろん私は経営者としてはようやく1年経つくらい
ですし、商店街の小さい小さい店の経営と、
資本金の0の数が3つも4つも違う大企業を
比較するのはちゃんちゃら可笑しい話です。
けれどDari Kは単にチョコレートを加工・販売している
町のお菓子屋さん・パン屋さんとはわけが違って、
国外での原料の調達から輸入から加工まで、
そして店舗販売・お取り寄せ・百貨店やホテルでの販売まで
サプライチェーンの全てを手がけているので、
規模こそ違うもののビジネスとしてのカバレッジの
広さは大企業に遜色がないと思っています。
そしてそういう意識で経営していく上で大切なのは
情報とネットワークであり、店での仕事と切り離して
家に戻るとコツコツ日本内外の情報を浴びています。
話を戻して、その雑誌に書いてあった一流の
思考法で強く共感したのは楽天の三木谷さんと
マクドナルドの原田さんです。
大企業の経営者となると、多くの事業セグメントがあり
また多くの子会社・孫会社をかかえ、さらに海外部門と
自社のことだけで思考がパンクしそうですが、この2人は
発想そもそもが違うんだと思います。
以前仕事でファーストリテイリング(ユニクロ)の
柳井さんにお話をうかがった時も感じましたが、
このような人たちの考え方は「積み上げ式」では
なく、「逆算式」なんだと思います。
これは記事とは全く関係なく、私の個人的な見方なんですが
「積み上げ式」とは今自分が(会社が)持っている
リソース(資源:設備であったり従業員であったり
ネットワークであったり、所有するもの)をどのように
活用して、どのように伸ばしていくか、ということから
始まる発想で、この良い点は現実ありきで考えるため
無茶なことにはつながらず、あくまで実現可能な
枠組みで思考が進んでいくことにあります。
他方、三木谷さんや原田さんなどの「逆算式」とは
こうあるべきだ、こうなるはずだ、という未来のイメージを
まず持ち、その未来で自分あるいは自分の会社は
どういうポジションでいたいかを描き、それに
合うように逆算して今するべきことを考える
思考だと思うんです。
こうすることで、今足りない設備や人などのリソースは
すぐに補充する。すぐにやらないと間に合わないんです。
だからみんなスピードを重視する。
楽天やユニクロが英語を公用語とするのは、三木谷さんなり
柳井さんは、数年後、あるいは数十年後の日本の縮小する
(既にかもしれませんが)マーケットで戦っていても
仕方ないということが見えていて、そのためには
世界で売っていかないといけない、そのためには
自社社員が世界でビジネスを展開できるよう英語が
必須になるし、また外国人を採用して今のうちから
海外でマネージャーとなれるよう訓練しておく必要がある
というのが見えているのでしょう。
日本企業なのに英語が公用語となると
「なんて奇抜な発想!」「極端だ経営方針」なんて
新聞や雑誌などメディアは反応しますが
経営者にとってはむしろ今やらないと間に合わない、
今やっても遅いくらい、というのが本音なのでしょう。
その他多くの日本の企業は「積み上げ式」なので
今あるものは伸ばせるかもしれない。例えば
今利益率が10%で100円の利益をあげている企業が
あるとして(ということは売上は1000円)、
積み上げ式でオペレーションの効率を上げ、10年後に
利益率を12%にあげられたとしても、市場そのものが
縮小し、シェアは横ばいだったとしても、売上が800円に
落ちれば、利益は96円と、利益ベースでは
下がってしまう。積み上げた結果、利益「率」は
上がっても、結局減収減益なんですね。
これが「逆算式」で考えて、海外のマーケットに
果敢に挑戦していくとする。投資も大きく、
また試行錯誤もあるので、利益率は今の10%から
10年後は8%に落ちるかもしれない。
でも縮小する国内のマーケットだけでなく成長著しい
海外の市場でシェアをとっていくので、売上は
1500円で、利益は120円となり
結果的に利益「率」は下がったのに
増収増益も達成できます。
何も「積み上げ式」=利益率の向上、
「逆算式」=利益率の低下というわけではなく
上のケースはあくまで一つのシナリオに過ぎません。
普通に考えれば売上規模が上がるに連れて
固定費はそこまで増えないので利益率も向上し、
時間の経過とともに全てが上向く方が寧ろ普通です。
今大きな企業でも、10年後、20年後はどうなっているか
わかりませんし、今小さな企業だからといって
今後どんどん伸びるかもしれません。
大企業だから潰れない、というのが幻想だというのは
周知の事実。消費が冷え込み、将来の見通しが
明るくないこういう時代こそ、今後は経営者の思考が
しっかりしているかどうかに企業の成長もかかっている
と思います。
翻ってDari Kは1年でメディアへの露出や
百貨店での催事販売、インドネシア貿易振興センターからの
推薦状の授与など多くの実績を上げてきました。
これらは全て支えてくれた皆様のお陰で、
大変感謝はしていますが、このスピードは
あくまで想定線。このスピードが維持できないようでは
Dari Kのビジョンなんていうのは、私が
生きているうちに達成できないでしょう。
逆算すると、このペースは必要最低スピードなんです。
だから何度も書きますが、
Dari K never stops!!
一流の思考法
2012年4月1日