今フィリピンのミンダナオ島におります。みなさん、ミンダナオと聞くと何を思い浮かべますか?
ミンダナオ島といえばバナナの産地ですね!また南部を中心とした独立を目指すイスラム教一派と政府の間で長い間武力闘争を繰り返しており、治安の悪い場所として認識されている方も多いと思います。
現にまだ外国人もダバオ市以外には出ないようにと規制されていますが、実はこのミンダナオ、隠れたカカオの産地でもあるんです。
今回、私は日本の林野庁のプロジェクトで、「フィリピンの持続可能な森林経営推進事業」におけるカカオの専門家としてここミンダナオ島に来ています。
途上国において持続可能な森林経営を推進することは、気候変動の緩和、生物多様性の保全といった地球規模での環境保全に寄与するのはもちろん、地域の土壌保全や住民の生活環境の改善など、地域住民の安定的な生活の実現に貢献します。
しかし、途上国では、大規模な農地転用や土地開発のほか、人口増加による森林への過剰な利用圧力による森林の減少・劣化が進行しているのも事実。
途上国における持続可能な森林経営を推進するためには、生産林・保全林といった森林区分や伐採規制といった政策的措置に加え、民間の技術や資金を活用して、地域条件に応じた新たな有用資源の発掘、需要の開拓、市場へのアクセスの確保、加工等を通じた付加価値の向上等を行うことにより、森林保全あるいは森林の持続的利用に対する経済的インセンティブを付与することが重要になってきます。
そこで、カカオという切り口からこの地でのビジネスモデルの構築を目指し、そのために解決しなければならない課題の列挙とその解決策などを検討するのが今回の使命。
そもそもミンダナオ島でカカオ?という感じですが、実はミンダナオ島は地図をみていただけると一目瞭然!Dari Kの活動ベースであるインドネシアのスラウェシ島のすぐ上(北)に位置しているんです。つまり、ミンダナオはカカオ生産にとって非常にポテンシャルが高い自然条件にあるんですね。
そもそも、Dari Kがインドネシアのスラウェシ島をベースにしているのは、スラウェシ島がインドネシアの全カカオ生産量の約8割を占め、ここで活動することがカカオの質を上げるうえでも、住民の生活向上の意味でもインパクトが大きいから。
同様に、ミンダナオ島は実はフィリピンのカカオ生産の約8割を占めており、フィリピンのカカオを語る上ではこの地を避けては通れないというわけです。
今回、インドネシアをベースに展開するのであっても、他国をカバーすることで様々な発見があることを身をもって実感しました。何より印象的だったのは、労働集約的なカカオ産業が振興することで、これまで職がなかった女性や若い男性に雇用機会が提供されており、彼ら自身非常にイキイキと働いていたことです。彼らのキラキラした目が私の瞼から離れません。
カカオに限ったことではないですが、表面的な売上の数字ばかりを追いがちで、その数字をとれることがデキる人であるような錯覚に陥っている現代のプロフェッショナルへの大きなメッセージが現場にあるように感じました。
まだ日本に輸出されたことのないフィリピンのカカオ。全世界のカカオ生産量の1%にも満たないカカオ生産としては大変小さい国ですが、やり方によっては非常に魅力的な産地になる可能性が高いと確信しています。
Dari Kのスローガンである「カカオを通して世界を変える」。インドネシだけでなく、フィリピンでもDari Kが出来ることは沢山あるような気がしています。