バレンタインも終わり、Dari Kの全国主要百貨店での出店も本日で幕を閉じました。昨年の12月頃からこのバレンタインに向けて色々準備をしてきたことを振り返ると、長かったけどあっという間だったと大変感慨深いです(社員、インターン、バイト、販売員、みんなありがとう!)
ダリケーのような手作りチョコレートの企業が複数の百貨店に出るのははっきり言って正気の沙汰ではありません。ぶっちゃけ利益なんてのぞめないからです。売上から百貨店の販売手数料は引かれ、カタログ掲載費や広告協賛金を取られ、販売員を雇って、商品の送り込みにはいちいち送料がかかる。残らないんです、全然。
なのになぜ出店するのか?その目的は収益のためではないからです。純粋にこのバレンタインの時期にしか多くの人がチョコについて熱心にリサーチしないのが現実。だったら多くの方が関心を寄せるこのタイミングで、私たちのこだわりや活動を知ってもらいたい、出店目的はこの一言に尽きます。
今年は全国的にBean to Bar(カカオ豆からチョコを作る)のトレンドが注目を集め、世界はもとより国内でもどんどんBean to Barのメーカーが出てきました。
その先駆けとしてやってきたDari Kとしては、裾野が広がって多くの人にその価値をわかっていただける素地が拓けてきていることに対して嬉しい反面、ブームに乗ろうと見よう見まねで参入する方や、有名ショコラティエでさえDari Kの商品や謳い文句をコピーするようなことが往々に起こるようになり、なんだか複雑な気分でした。
Bean to Barは優れているとか美味しいという証明ではありません。ただこれまでのクーベルチュール(製菓用チョコレート)以上にプロセスが多くなった分、手間もかかりますがそれだけ自由度が広がったに過ぎないと思っています。それが卓越した味や賞賛に値する取り組みにつながるかどうかは、それこそ作り手の力量次第で、本当に良いものを作ろうとすれば、これまで以上に製造に対する際限なきコミットメントが必要になってきます。包材のデザインを凝らして見かけをよくしている場合ではないです!有名ショコラ評論家やコメンテイターと作り手が仲良く株の持ち合いみたいなことやってる場合じゃないですよー!カカオと、そしてそれを生産しているカカオ農家ともっと向き合わねばならんのです!
経済もお笑い芸人もそうですが、過剰なブームは必ず終焉を迎えます。そのブーム(経済の場合はバブル)形成速度が早ければ早いほど、終わりも早くやってきます。
だからbean to barの言葉が先行する前に、味比べの際は、「目をつぶって食べてもそれがどこのブランドのどの商品か分かるか」と問いながら食べてみてください!本当のbean to barだったら、ものすごく尖っているはずです。尖ったブランドが多いからこそ、それがbean to barの醍醐味なはずです。言われなきゃ分からないような味の誤差のような商品を繊細な違いと銘打っても仕方ない。それはやはり誤差であって、bean to barであれば、beanのその時のその特徴を最大に出せているか、が評価されるべきポイントだと思います。
○○(国名)産の豆は酸味が強くフローラルな花の香りでとか、△△産のカカオ豆の特徴はスモーキーで香ばしいナッツの余韻がなんちゃらとか、国によって特徴を列挙しているようでは真のbean to barではありません!ダリケーは同じインドネシアで、同じポレワリの豆を使っているけど、ヘルウィンさんの豆とサムスディンさんの豆は隣同士の農園なのに、気候も場所も土壌も大差ないのに豆の特徴は違います。そんなの農園にいけば一発で分かること。農家によって収穫のタイミングが微妙にずれるし、発酵の仕方や発酵で使う木箱も違うのだから、隣人でも味は全くことなりますよ、そりゃあ。なのに国ごとに味の特徴を断定してしまうというのは、bean to barの本質を理解していないでしょう(泣
そんなことを考えながら、2015年のダリケーのバレンタインは幕を閉じたのでした。そして今から、ダリケーのニューフェーズがはじまります。
有限実行。新しい展開。
乞うご期待!