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コーヒー業界のトレンドにみる今後の世界

2017年9月14日、かのネスレがサードウェーブコーヒーの代表格である米コーヒーチェーン「ブルーボトル・コーヒー」の株式68%を取得し買収しました。ロイターによると買収した株式68%に支払った金額は約4.25億ドル(約470億円)だったそうです。

コーヒーに詳しい人は聞いたことがあると思いますが、コーヒー業界のトレンドは「~ウェーブ」と言われます。ファーストウェーブは19世紀後半から1960年代までの大量生産・大量消費の時代。流通の発達などで安価になったコーヒーは一般家庭やオフィスでも消費されるようになり、浅煎りのアメリカンコーヒーが世界中で人気の飲料に成長しました。

続くセカンドウェーブは1970年から1990年代くらいまで。シアトル系コーヒーチェーンなどの台頭した時代です。高品質の豆を深煎りで淹れるのが特徴で、まさにエスプレッソの時代。カフェラテなどエスプレッソにアレンジをするアレンジ・コーヒーも広がりました。ちなみにスターバックス創業は1971年、シアトルズベストコーヒーは1968年に創業、タリーズは1992年と少し遅めです。

そして第3の波「サードウェーブ」は2000年くらいからの新しい動き。コーヒー豆の産地を重視し、個性を最大限に引き出す淹れ方を追求する新しいトレンドが始まります。それまで主流だった豆のブレンドよりも、単一地域から採れた「シングルオリジン」がメニューに並び、豆の焙煎へのこだわりや、抽出器具を変えて淹れ方により豆の個性を引き出すなど、ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるスタイルがトレンドになりました。

つまり、これまでファーストウェーブの旗手であったネスレは、ネスプレッソによりセカンドウェーブのエスプレッソ需要も取り込んできましたが、ブルーボトル買収によりサードウェーブにも本格的に参入したというわけです。

「世界最大級の食品メーカーであるネスレが川下まで進出してきている」という解釈で間違ってはいませんが、実はそれだけでは不十分です。たとえばネスレはコーヒーやカカオの原料、つまり川上でも様々な取り組みを行っており、たとえば代表菓子「キットカット」に使われるカカオは、カカオ農家の生活向上及びカカオ豆の品質向上を目的とするネスレカカオプランの取り組みを通じて、2016年より100%持続可能なカカオのみを使用するまでになりました。

要するに、世界に名だたるジャイアント企業ネスレは、もはや菓子や食品の加工・製造メーカーではなく、原料の川上から消費者との接点である川下まで、サプライチェーンのすべてに入り込み、その規模と資金力で大きな影響力を持つまでになっているのです。

今年6月には米Amazonがオーガニックスーパーを運営するホールフーズを140億ドル(1.5兆円)で買収を発表したのは記憶に新しいと思います。そのアマゾンですが、買収を完了しホールフーズを傘下においた8月28日からは早くも値下げを開始し、なんとその値下げ率は最大40%越えというから驚きです。

これら欧米のジャイアント企業の買収が暗示することは何でしょう?生産者の所得向上でしょうか?消費者が欲しいものをより安く手に入れることができるということでしょうか?プラスの面も沢山あると思いますが、マイナスの面もあるでしょうか?この世の中は、自分の意志に関係なく環境がどんどん変わってきます。ひとつひとつのニュースのインプリケーション、つまりそのニュースの示唆を考えていくと、社会がどのような方向に動いていくかイメージが掴めてくると思います。

社員10名の小さい会社ではありますが、経営者として日々思考し、自分たちが目指す社会へを実現する思想へと昇華すべく頑張ります。