カカオはチョコレートの原料といえば、それはそうなんですが
Dari Kではローストしたカカオ豆をそのまま(ナッツとして)
お召し上がりいただくという斬新な販売もしてきました。
はじめは常連のお客様で「お酒に合いそう」ということで
あくまで「ニッチ」な位置づけだったローストカカオ豆も
今ではチョコレートを除き、カシューナッツとともに
大人気の商品となりました。
その影響は個人のお客様にとどまらず、今では
レストランやバーなどでもお使い頂くほどです。
さて、数週間前にも、とあるフレンチの料理人の方が
お店にお越し下さったときのこと。たまたま通りがかった
のではなく、Dari Kで珍しいもの(カカオ豆)を
扱っていると聞きつけわざわざ来て下さったのでした。
Dari Kは最良のカカオ豆を仕入れていますが、
それはローストして販売するか、チョコレートにするしか
今のところしていません。ローストカカオ豆を
試食して頂くと、そのシェフは一粒一粒味が異なる
カカオをとても気に入ってくださり、何か料理に
アレンジしたいと、何袋もご購入頂きました。
そのシェフが数日前にカカオを使った料理を
作ったということで、その写真をメールに添付して
送ってくださいました。
それがこちらです。
舌の写真でいくと左がフォアグラのテリーヌで、
右の黒い丸いのがコーヒーとカカオのゼリー(甘くないもの)。
このゼリーの下にはヴァニュルスで煮た干しイチヂクがあるそうです。
カカオとカシューナッツ、ヴァニュルスのクリーム、オレガノで
装飾しており、黒いソースはヴァニュルスの煮詰めたものとのこと。
ヴァニュルス(バニュルス)は南仏のルーション地方の産地から
収穫されたグルナッシュを使用して造られ、発酵中にアルコールを
添加して発酵を止め、糖分を残す方法で造られる天然甘口ワイン。
ビターなチョコに合うワインとして有名です。
チョコレートと食べながらヴァニュルスを飲むのではなく、
料理として一つのプレートにカカオとヴァニュルスをマリアージュ
させるとは、なんて創造的で素敵なんでしょう!
私はワインとチョコは似ていると思ってます。
ワインの原料はぶどう。ぶどうの糖分が発酵の過程で
アルコールになったものがワイン。そのまま発酵が
進むとビネガー、つまり酢になります。
かたやチョコの原料はカカオ。カカオの実の糖分が
発酵の過程でアルコールになり、そして酢酸になり
カカオの種子(豆)にしみこんでいくのです。
ワインの味の決め手となるのはぶどうの種類、
栽培している環境(気候であったり、シャトー(農園)の
立地であったり)、収穫後の発酵の過程などなど。
カカオも同じ。それがクリオロ種なのかフォラステロ種なのか、
それが育っているのはアフリカなのか、アジアなのか、中南米なのか、
そしてどのような方法でどれくらい発酵させたものなのか。
ワインは年によって出来・不出来があります。
カカオも同じ。同じ農園から採れるカカオはいつも同じ味なわけでは
ありません。たとえ同じ種類のカカオでも、
その年によって、あるいは同じ年でも収穫の
タイミングによって味は微妙に異なる、そう農産物なのです。
だからそれを味の均一な大量生産のチョコにするのではなく、
野菜や果物と同様、農産物として料理に活かすのは
「あり」だと思うんです。
むしろ、料理に活用することでカカオの可能性は
どんどん広がるような気さえします。ポリフェノールを
多く含み、テオブロミンによるリラックス効果を有する
カカオは最強の食材。これをあの写真のように
美しく芸術的に仕上げて頂くのは、本当に嬉しいですね。
このシェフのお店、フランス料理Makinoさんは
石川県金沢市にあります。わざわざ金沢から
ありがとうございます!
Makinoさん、とっても素敵なカカオの料理を作って
いただき、大変感謝・感動しております。
金沢に行く機会があれば是非寄らせて頂きます!
カカオはやっぱり夢を見させてくれますね。
Dari Kと料理人と、どんどんコラボしていきたいものです。
カカオが料理になるとき
2011年10月5日