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dari K to the World
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【カカオ農園訪問記5】 恐るべし夜行バス

前回のカカオ農園訪問記4では
ド派手なバスに乗る直前まで書きました。
今回はその続きです。
この夜光バス、いや夜行バス、強烈だったのは外見
だけでありませんでした。
「明日の朝にはカカオ農園のあるLuwu県に着く!」
そんな期待に胸がふくらみつつバスに乗り込みました。
2人掛けのシートが2つ、4列シート。私の隣は
もちろんウマールさん。
これまで東京~京都間を通算30回以上夜行バスで
移動していた私にとっては、夜行バスは慣れっこ。
それでもこのバスの外見には驚きましたが
中は案外普通。普通にキレイで、普通にリクライニングも
できます。そして何より良かったのがエアコン
付きだということ。
トロピカルな気候のインドネシア。
常に気温は30度以上。暑いのでエアコンがなかったら
夜行バスきついなー、そう思ってましたがこれなら
快適に過ごせそう!
テンションがあがってきた私は嬉しさのあまり
インドネシア語の辞書を片手に、明日からの
農園訪問で使えそうな単語をノートに
書き出し始めました。
しばらくして、ちょっとエアコンが効きすぎて
寒くなってきた私。風量を調節しようと
エアコンの空気の吹き出し口の辺りを探しますが
ツマミがありません。
あれ、おかしいな~。
辺りを見回すと、なんとみんなブランケットを持参して
頭からかけていたり、上着やセーターを着たり
しています。えー、これツマミがないのは
自分の席だけでなく、他の席も同じなのかな~?
困った私はウマールさんを見ました。
すると。
(ゴソゴソ・・・)←ウマールさんがバッグからジャンパーを
出す音。ありゃー、ウマールさんまでジャンパー持参
していたんです。私はエアコンがなくて暑いことは
考えていましたが、エアコンが効きすぎて寒くなるとは
思いも寄りませんでした。だからもちろん上着なんて
ありません。
んー。どうしよう・・・
冷静になれ!私は考えました。
エアコンはある。ツマミがないので風量を調節できない。
その結果大量の冷風が吹き出してくる。ということは
吹き出し孔を無理やり塞いでやればいいんだ!
何で塞ごうか?(ゴソゴソ・・・)
今度は私がバッグをまさぐります。
「これだ!」私は徐にトイレットペーパーを
取り出すと、ぐるぐる巻き取り、吹き出し孔に
詰め始めました。(ちなみにバックパッカーは
ポケットティッシュではなく、常にトイレットペーパーを
持ち歩くのが常識となってます!)
「What are you doing, Kei-san?
(ケイさん、何してんの?)」
ウマールさんが聞いてきました。
「Air conditioner is too strong.
(エアコン効きすぎだから)」
私がそういうと、ウマールさんはニヤリと笑って言いました。
「You'll get used to it soon!
(すぐに慣れるよ!)」
おい!慣れるっかってーの!
ウマールさんも、他の乗客も、慣れないから
ジャンパーやブランケット持参してるんじゃないの!
おもわず突っ込みたくなりましたが、そこは
事なかれ主義の国、日本から来たワタクシ。
「I hope so.(そうだといいんだけど)」
と言って平穏無事に一件落着。
トイレットペーパーが詰まったエアコンの吹き出し口からは
風が少し漏れる程度になりました。
助かった~!
一息ついて時計を見ると午後11時。
おっ、日本の夜行バスなら消灯の時間です。
そろそろこっちでも消灯かな、と思った矢先、
そうは問屋が卸しませんでした。
「♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪」
なにやら音楽が。ラップのような、語りのような
よく分からない音楽が、大音量で。
これは困った。すぐさま頭上に手が伸びます。
再びツマミを探して。
そして案の定ツマミはありません。
ウマールさんもこれには困っているだろう、
そう思って隣を見ました。
「ウソー!!!」
ウマールさんは既に夢の中へ。
困った。エアコンの次は音楽。
ツマミなし。しかもスピーカーは運悪く私の頭上。
スピーカーにトイレットペーパーは入れられそうにない。
どうする、俺。
冷静になれ。
音楽が邪魔をして冷静になれない私。
音楽がうるさい。ツマミがない。だから音量は調整できない。
音は耳に入ってくる。そうか!
私は再びトイレットペーパーを取り出しました。
そして自分の耳に突っ込みます。
それでも音は入ってくる。うるさい!
なぜだ、なぜこのバスは乗客にこんな仕打ちを
するんだろう。そう思ってるのも束の間、
前から後ろからイビキが聞こえてきました。
恐るべし、夜行バス!
インドの夜行列車で私の寝台ベッドにわけの分からない
修行僧(と名乗るおっさん達)にわけの分からない
呪文を唱えながら居座られた経験があり、アルゼンチンで
怒涛の40時間バス移動した経験もあり、中国で
広州からチベットまで列車で50時間移動した経験もあり、
ミャンマーでダンボールのような補助いすでガタガタの
道を夜行バスで走った経験があり、トルコでトイレ休憩
なしで10時間連続走行され膀胱炎になる一歩手前まで
いった私でも、スラウェシのこのバスは強烈でした。
そしてバックパッカーなのに夜行バスが苦手で
いつも眠れない私は当然このときも眠れず、
朝が訪れました。明けない夜はないのです。
ウマールさんは目を覚ますと、運転手に
「Lampu merahで降りたい」と言いました。
Lampuはインドネシア語で「ランプ」
merahは「赤い」、つまり赤いランプ、
転じて「信号」という意味でした。
あとで分かったことですが、ベロパ市には
信号が一つしかないそうな。だから信号は
町のランドマークだったのです!
バスは私達2人を信号前で下ろすと、走り去って
いきました。いよいよ、Luwu県ベロパ市に
到着したのです!次回ついに、カカオ農園訪問なるか!?
(続く)