2011年のDari K設立から今年で5年目。
これまでDari Kとして数々の取り組みをしてきました。そのいずれの取り組みも現地インドネシア・スラウェシ島のカカオ農園があってこそ。他のチョコレートショップと異なり、私たちは現地で学び、現地で考え、現地で教え、そして現地でカカオも友情も育んできました。
Bean to Bar(カカオ豆からチョコレートを手作りすること)が世界的なトレンドになりつつあります。日本でも数多くのBean to Barを謳う専門店が誕生してきています。しかし、現地に根差した取り組みをしている方はほとんどいないのではないでしょうか?私たちは今のBean to Barの流れを少し残念に思っています。それは、せっかく原料から扱うという面倒だけどとても奥が深い取り組みをしているというのに、各メーカーが強調するのは専らカカオ豆が生産された「国」や「カカオ分」、「焙煎」や「コンチング(練り上げること)」といった表面的・技術的なことばかり。そのカカオ豆を作っている「人」にあまり関心を持たれていないからです。
カカオ豆を取り巻く人々にはそれぞれドラマがあります。カカオ豆を単なる原料として表面的に扱うのではなく、現地で何が起きているかを知るのは、非常に興味深く、また生きる上での大きなヒントを与えてくれると私は確信しています。そう言えるのは、私自身がそれを身をもって経験したから。
私たちはチョコレート・メーカーでありながら、哲学的とも言える問いを自らに投げかけてきました。そしてその答えを探しに、現地に通いました。私たちが”客観的”と考える統計データで見るカカオやインドネシアと、現場で感じる”主観的”なカカオやインドネシア。果たして前者は本当に客観的なのだろうか?そして後者は主観的なのだろうか?もしかしたら逆ではないか?データの解釈は主観になり、現場で目の当たりにする光景こそ真実なのではないだろうか?
チョコレート屋としての大義が「美味しいチョコレートを消費者に届ける」ことであるならば、Dari Kはチョコレート屋に留まらずにいました。消費者への矢印とは真逆の生産者に対しても、同じくらい注目をしてきたと言えます。それはチョコレートという表層的なカタチではなく、その原料であるカカオというものが世界の中でどのように位置づけられているのか、まるでカカオに携わる各ステイクホルダーの実態を追うドキュメンタリーのような探求の連続でした。
私はこれまでスラウェシのカカオ農園に20回以上通いました。ようやくカカオ農家の考えが分かってきましたが、いまだに行く度に尚、新たな発見があります。時にそれは魂を揺さぶるような、鈍く重いものであったり。あるいは鋭く突き刺さる無慈悲な現実であったり。自分が思っていたことと現実世界のギャップ。日頃の自分の何気ない行動が海を隔てた人に与える影響。世界はつながっているという実感。自分の無力加減への幻滅とやるせなさ。それでもそこから生まれる一筋の希望。
そのドラマを是非あなたにも感じてもらいたい。何かの縁でこの告知を目にした方に、このドキュメンタリーに参加してもらいたい。だからツアーを企画しました。すべて手作りの企画。バリ島へのバカンスとは比べ物にならない真実の旅。リラックスするのが旅の目的であるならば、このツアーはその対極にあるかもしれません。移動時間も大変多いし、アクティビティーも数えきれないほど。あまりの多くの経験に、それを消化するのに時間がかかるでしょう。でも、そんな旅もあっていい。非日常の日常を体験してもらいたい。
次に書く質問の答えはどこにも書いていません。すべては現地にあります。
★1960年代にはカカオをほとんど生産していなかったインドネシアが今では世界第2位・3位のカカオ産出国になっているのはなぜだろうか?
★13,000もの島々から成るインドネシアの中でもなぜスラウェシ島が国内カカオ生産の7割以上を占めているのはなぜだろうか?
★なぜ農家はコーヒーでなく、バニラでなく、香辛料ではなくカカオを選んだのか?また今後も彼らはカカオ栽培をずっとしていくのだろうか?
★カカオ農家はどういったところにやりがいを感じているのだろうか?
★カカオの価格はニューヨークとロンドンの国際市況で決まっており、生産者は価格を決められないが、これに対して彼らは何を思っているのか?
★フェアトレードやUTZ認証、レインフォレストアライアンスなどの認証は現地の生産者にどういった影響を及ぼしているのだろうか?
★アグロフォレストリーを実践すると、農園や農家にどんな変化がもたらされるのだろうか?
★接ぎ木をして生産性をあげることで、農家の所得はどれだけ増えるのだろうか?増えた収入を彼らは何に使うのだろうか?
★質の良いカカオを育てる条件とは何だろうか?そもそもカカオの質をチョコレートを食べたことのない農家に理解してもらえるのだろうか?
★生産者は何を考えて暮らしているのだろうか?
★自分に出来ることは何なのだろうか?自分にしかできないことはあるのだろうか?
いよいよ6月1日から申し込みスタートです。この夏、一生に一度の経験をしましょう。
詳細はリンクをどうぞ。
カカオ農園ツアー2015,5,29(S)
Opportunity once in a lifetime.