皆さん、ペイフォワードという映画を見たことがあるでしょうか?私にとっては、大好きな映画TOP3に入るお気に入りの映画です。もうだいぶ昔になりますが、飛行機の中で見て大号泣した覚えがあります。
さて、それはさておき、ペイフォワード(英語ではPay it forward)、一言でいうと、「恩送り」です。例えば、AさんがBさんに親切なことをしてくれたとします。Bさんは、「恩返し」としてAさんに何かお返しをすることはよくあることです。ただ、これだと、AさんとBさんの2人の間のやりとりで終わってしまいます。
ところが、Aさんから親切なことをしてもらったBさんが、Cさんに親切なことをしたらどうでしょう?そしてCさんは、Bさんから親切にしてもらったお返しを、BさんではなくDさんにしたらどうでしょう?受け取った善意を、与えてくれた人に返すのですはなく、別の人に善意を与える。これこそがペイフォワードの意味になります。そしてこのペイフォエワード、善意が2者で完結しないで、どんどん世の中に広がっていくので、非常に大きなポテンシャルを生む可能性があります。
Dari Kは元々win-winの仕組みを作るために生まれた会社です。フェアトレードでカカオ農家に対し、通常の値段(国際価格)よりも高い値段でカカオ豆を買い取るのは善意ではありますが、カカオ豆の品質が変わっていなければ、単にDari Kは高い値段で原料を仕入れているに過ぎません。そうすると、高い値段で売るしかなくなりますが、原料の品質で差別化できないので、結局お客さんにとっては、品質は他と同じなのに、値段は他の商品よりも高いという判断をされ、単に高い買い物になってしまいます。
もちろん、高い買い物になっても、「生産者の収入アップにつながるならそれでよい」と考える人もいますが、そうするとそのような人頼みのビジネスになってしまい、規模が大きくならなかったり、持続可能でなくなってしまう。だから私たちは、単に高い価格でカカオ豆を買い取るのではなく、現地で生産者と協業して品質を上げる取り組みをし、品質が上がったから高く買い取るようにしました。これにより、価格に品質という正当性が付与され、生産者もDari Kもwin-winになる仕組みを築いたわけです。
ところで、今回コロナの影響で社会全体に大きな経済影響が出ているのは誰もが実感しているとおりです。この状況で、それぞれの立場の人の「困ってる」、あるいは「どうにかしたい」を洗い出し、それをうまくつなげることでwin-winの仕組みを築けないか、と考えました。
そして応用したのが、上述のペイフォワードの仕組みです。
・医療従事者が大変な状況なのは分かっていても何もできないでモヤモヤしている消費者
・多くの取引先が休業などで商品在庫が増えているDari K
・息つく間もなく過度の緊張状態のもので働いている医療関係者
・カカオ豆をDari Kに売れなくなると、収入が激減してしまうカカオ農家
この4者をペイフォワードでwin-winにするという挑戦を4月20日(月)の夜から始めました。反響は反響を呼び、この3日間で既に全国から400件以上のご注文をいただき、1万人分の医療従事者に配るチョコレートを確保することができました。
早速私は行政と連携し、コロナウィルス感染患者の受け入れをしている、あるいは非常にひっ迫した状況にある病院を紹介していただき、そこと連絡を取りました。どの病院も、この取り組みを非常にありがたいと仰って下さり、早ければ来週中には1万枚のチョコレートを1万人の医療関係者にお配りできることになりました。
ご賛同いただき、ご注文してくださったお客様は全国にいらっしゃるので、今後は京都のみならず、全国の医療機関にもこれは届けたいと思っております。
ポスト・コロナ(コロナが収束したあと)は、競争の資本主義ではなく、共感の新しい社会になるような気がしてなりません。
まだペイフォワード続けていますので、是非こちらからご賛同いただけますと幸いです。